師走の二十五日、例の出仕した宮家の仏名会にお召しがあったので、その夜ばかりはと思って参上した。
四十人余りが皆、白いきぬに濃い掻練を着て坐っ ている。
宮仕えの導きをしてくれた人の陰に隠れて、人中にはちらと顔を見せ、暁には退出する。
雪も散りつつ、はなはだ厳しくさえて、凍ったような暁方の月が、ほのかに、色濃い掻練の袖に映っているのも、誠に、ぬれた顔のごとくである。
道すがら
年は暮れ 夜は明け方の月影の
袖に映れる程ぞはかなき
(年は暮れ、夜は明け、明け方の月影が、袖に映っ ている折ははかない)
四十人余りが皆、白いきぬに濃い掻練を着て
宮仕えの導きをしてくれた人の陰に隠れて、人中にはちらと顔を見せ、暁には退出する。
雪も散りつつ、はなはだ厳しくさえて、凍ったような暁方の月が、ほのかに、色濃い掻練の袖に映っているのも、誠に、ぬれた顔のごとくである。
道すがら
年は暮れ
袖に映れる程ぞはかなき
(年は暮れ、夜は明け、明け方の月影が、袖に