夫のことにとかく気をもむのみで、宮仕えをしたとはいっても、元は一筋に奉仕を続けたかった……そうしていればどうなっていたであろう。時々 顔を出すくらいでは、どうなるはずのものでもないようだ。
年もいよいよ盛りを過ぎてゆくのに、若々 しいようにしているのも似合わしくなく思われてくる内に、私は病がいたく重くなり、心に任せて参詣などしていたのがそれもできなくなって、宮家へたまさかに顔を出すことも絶え、長らえるべくもない心地がするので、幼子たちのことをどうにか、私が世に在る間に取り計らっておきたいものだと起き伏し悲しみ、頼みの夫の喜びの折をじれっ たく待ってはこいねがうのに、秋になって、待ち受けていたように任官はあったけれども、思っていた国ではなく、至って不本意で口惜しい。
親の折より繰り返し受けた東国よりは近いように聞こえるので、やむを得ないということで、程なく下るべく準備をした。門出は、娘が新しく移った家で、葉月の十余日に行った。
後のことは知らずその間の有り様は、物騒がしいまで人が多く、活気づいていた。
年もいよいよ盛りを過ぎてゆくのに、
親の折より繰り返し受けた東国よりは近いように聞こえるので、やむを得ないということで、程なく下るべく準備をした。門出は、娘が新しく移った家で、葉月の十余日に行った。
後のことは知らずその間の有り様は、物騒がしいまで人が多く、活気づいていた。