釜飯屋の更級日記

(三十二)有明の月

 葉月二十余日の暁方の月は、はなはだ美しく、山の方は木暗くて、滝の音も、似るものもなく思われるのみで
 
  思ひ知る人に見せばや
   山里の秋の 夜深き有明ありあけの月
 
(この美しさが分かる人に見せたいものだ。山里の秋の夜更けの、この有明の月を)

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