釜飯屋の更級日記

(四十一)荻の枯れ葉

 冬になって、雨が降り暮らしたある日の夜、雲を返す風が激しく吹いて、空が晴れ、月がはなはだ明るくなり、軒に近い荻がひどく風に吹かれて砕け惑うのがいたく悲しくて
 
  秋をいかに思ひいづらむ
   冬深み嵐に惑ふ荻の枯れ葉は
 
(この秋をどんなふうに思い出しているのだろう。冬の深さの故に、嵐に惑うこの荻の枯れ葉は)
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