釜飯屋の更級日記

(七十)西山の奥

 弥生の初め頃、西山の奥の某所に行ったが、人が見えることもなく、はなはだのどやかに一面かすんでいるところに、物悲しく心細く花ばかりが咲き乱れている。
 
  里遠み あまり奥なる山路には
   花見にとても人来ざりけり
 
(里に遠い故、あまり奥まったこの山路には、花見をしにも人の来ることがない)
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