釜飯屋の更級日記

(八十)姨捨

 おいたちなどは一つ所で朝夕に見ていたのに、こんな悲しいことの後は、所々になったりして誰を見ることも難しいけれど、至って暗い夜、六男坊のおいが来たので、珍しく思われて
 
  月もいでで闇に暮れたる姨捨をばすて
   何とてこよひ訪ねきつらむ
 
(月も出ないで闇と暮れている姨捨おばすて山に、どうしてこよいは訪ねてきたのでしょう)
 
と言ってしまったのである。
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