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更級日記

(十二)美濃

 そこより美濃の国となる境にて、墨俣すのまたという渡りを渡って、野上というところに着いた。
 そこに遊び女どもが現れ出て、夜もすがら歌を歌うにも、足柄にいた女たちが思い出されて感慨深く、恋しいことは一通りでない。
 雪が降ってひどく荒れるので事の興もないまま、不破ふわの関川、美濃山などを越えて、近江の国の、息長おきながという人の家に宿ってそこに四、五日いた。
 「みつさか」の山の麓では、夜昼、時雨、あられが降り乱れて、日の光もさやかでなく、はなはだいとわしい。
 そこを立って、犬上、神崎、野洲やす栗本くるもとなどというところどころは、これということもなく過ぎた。
 湖の面ははるばるとして、多景たけ島、竹生ちくぶ島などというところの見えているのがいたく面白い。
 勢多の橋は皆崩れていて、なかなか渡れない。
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作成者: com

内容
・日本の(主に平安)古典の現代語訳

対象読者
・古文の授業で習った作品の全体像を知りたい中高生
・日本の古典にもう一度触れてみたくなった大人

翻訳の方針
・主語をなるべく補う。呼称もなるべく統一。
・一つの動詞に尊敬語と謙譲語が両方つく場合、尊敬語のみを訳出。
 (例)「見たてまつりたまふ」→「御覧になる(×拝見なさる)」
・今でも使われている単語は無理に言い換えない。
・説明的な文章を排し、簡潔に。

※これらは受験古文の方針とは異なるかもしれませんが、現代語としての完成度を優先しました。

作品
・完了 :更級日記(令和二年四月~七月)
・進行中:源氏物語(抄)(令和二年七月~)
・今後手がけたい:とはずがたり、紫式部日記、枕草子、蜻蛉日記、和泉式部日記、夜の寝覚め、堤中納言物語、伊勢物語、竹取物語、大鏡、増鏡、土佐日記

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