「世間には、長恨歌という文を物語に書いてあるところがあるそうな」
と聞くのではなはだ見たいのに頼み込めずにいたけれども、適当な頼りを尋ねて七月 七日に言いやる。
契りけむ 昔の今日のゆかしさに
天の川波打ちいでつるかな
(楊貴妃が契りましたとかいう昔のこの日のゆかしさに、天の川の波のように私も声を立てたのです)
返し
立ちいづる 天の川辺のゆかしさに
常はゆゆしきことも忘れぬ
(この文は、平生ならば忌むべきですが、ひこ星の現れます天の川のほとりのゆかしさに、そのことも忘れてしまいました)
と聞くのではなはだ見たいのに頼み込めずにいたけれども、適当な頼りを尋ねて
契りけむ
天の川波打ちいでつるかな
(楊貴妃が契りましたとかいう昔のこの日のゆかしさに、天の川の波のように私も声を立てたのです)
返し
立ちいづる
常はゆゆしきことも忘れぬ
(この文は、平生ならば忌むべきですが、ひこ星の現れます天の川のほとりのゆかしさに、そのことも忘れてしまいました)