翌年、睦月の司召に父の祝いをできそうなことがあったのに、そのかいもなかった朝早く、同じ心に思っているはずの人のもとより
「今年こそ、そうはいってもと思いつつ、明けるのを待つ待ち遠しさよ」
と言って
明くる待つ 鐘の声にも夢覚めて
秋のもも夜の心地せしかな
(明けるのを待っていましたが、鐘の声にも夢は覚めて、秋の百夜が過ぎた心地がしたのでした)
と言ってきた返事に、
暁を何に待ちけむ
思ふこと成る とも聞かぬ 鐘の音ゆゑ
(なぜ暁を待っていたのでしょう。思うことが成り、鳴るとも聞かぬその鐘の音ゆえに)
「今年こそ、そうはいってもと思いつつ、明けるのを待つ待ち遠しさよ」
と言って
明くる待つ
秋のもも夜の心地せしかな
(明けるのを待っていましたが、鐘の声にも夢は覚めて、秋の百夜が過ぎた心地がしたのでした)
と言ってきた返事に、
暁を何に待ちけむ
思ふこと
(なぜ暁を待っていたのでしょう。思うことが成り、鳴るとも聞かぬその鐘の音ゆえに)