翌日の夜も、月が至って明るいので、藤壺 の東の戸を押し開けて、相応の人々 で物語をしつつ月を眺めていたところ、梅壺の女御が清涼殿においでになる音が、はなはだ心憎くしとやかであるのにも、故宮の御在世の時はやはりかようにおいでになったのであろうなどと人々 が言い出すのは誠に悲しいことである。
天の戸を雲居ながらもよそに見て
昔の跡を恋ふる月かな
(雲の上にいながらも、天の岩戸をよそに見て、昔の跡を恋う月のように、我々 もまた、戸をお開けになる女御をよそに、故宮の跡を恋うているのです)
天の戸を雲居ながらもよそに見て
昔の跡を恋ふる月かな
(雲の上にいながらも、天の岩戸をよそに見て、昔の跡を恋う月のように、