夫のことがいとわしく思われた頃、太秦に籠もっていると、宮家で交際していたある方のもとより文があったそのお返事を申し上げようという折に、鐘の音が聞こえたので
しげかりし憂き世のことも忘られず
入相の鐘の心細さに
(つらいこともしきりにあった夫とのことも、忘れることができなくなります。たそがれの鐘のこの心細さには)
と書いてやった。
しげかりし憂き世のことも忘られず
入相の鐘の心細さに
(つらいこともしきりにあった夫とのことも、忘れることができなくなります。たそがれの鐘のこの心細さには)
と書いてやった。