やはり心を同じゅうして連絡を交わし、世の中のつらいことも情けないことも、面白いことも互いに語らった人が筑前に下って後、月がはなはだ明るいので…… こんな夜に、宮家に参上してあの人に会っては、つゆまどろむことなく眺めて明かしたものを……と恋しく思いつつ寝入っ てしまった……
宮家に参上してその人に会った。以前と変わらず、現実のようだった……
と見て目を覚ましたところ夢であった。
月も山の端近くなっていた。
覚めざらましを
(覚めなければよかったのに)
とますます眺められて
夢覚めて 寝覚めの床の浮くばかり
恋ひきと告げよ 西へ行く月
(夢が覚めて、寝覚めの床も浮くばかりに、涙を流してあなたを恋うたと告げてください。西へ行く月よ)
宮家に参上してその人に会った。以前と変わらず、現実のようだった
と見て目を覚ましたところ夢であった。
月も山の端近くなっていた。
覚めざらましを
(覚めなければよかったのに)
とますます眺められて
夢覚めて
恋ひきと告げよ
(夢が覚めて、寝覚めの床も浮くばかりに、涙を流してあなたを恋うたと告げてください。西へ行く月よ)