二十七日に下る。息子はこれに添うて下る。
きぬたを打った紅のうちきに、萩襲 の狩衣 、紫苑 色の綾織物 の指貫 を着て、太刀をはいて、夫の尻に立って歩み出すのだけれども、その夫も、青にび色の綾織物の指貫に狩衣を着て、廊の辺りで馬に乗った。
騒ぐ声も辺りに満ちたまま下っていったその後は、殊の外つれづれになったけれども、非常な遠路ではないと聞くので、先々 のように心細くなどは思われずにいたのに、送りの人々 が、又の日に帰って、はなはだおごそかに下っておゆきになりましたなどと言ってから
「今日の暁に、はなはだ大きな人だまが飛んで京の方へ行きました」
と語るけれども、供の人などのものであろうと思う。
忌ま忌ましいことのようには思いも寄らない。
きぬたを打った紅のうちきに、
騒ぐ声も辺りに満ちたまま下っていったその後は、殊の外つれづれになったけれども、非常な遠路ではないと聞くので、
「今日の暁に、はなはだ大きな人だまが飛んで京の方へ行きました」
と語るけれども、供の人などのものであろうと思う。
忌ま忌ましいことのようには思いも寄らない。