門出した先は、囲いなどもなくて、仮初めの茅 屋で蔀 などもない。
すだれをかけ、幕など引いてある。
南ははるかに野の方が見やられる。
東西は海が近くていたく面白い。
一面に夕霧が立ってはなはだ面白く、朝寝もせずあちこちを見る。そこを立つのは物悲しかったが、その月の十五日、雨が降って暗い中、国境を出て、下総の国の「いかだ」というところに泊まった。
今にいおりなど浮いてしまいそうに雨が降りなどするので、恐ろしくて寝ることもできない。
野中に丘のようになっているところにただ木が三つ立っ ている。
その日は、雨に濡れたものを干し、国に立ち後れた人々 を待つということでそこに日を暮らした。
すだれをかけ、幕など引いてある。
南ははるかに野の方が見やられる。
東西は海が近くていたく面白い。
一面に夕霧が立ってはなはだ面白く、朝寝もせずあちこちを見る。そこを立つのは物悲しかったが、その月の十五日、雨が降って暗い中、国境を出て、下総の国の「いかだ」というところに泊まった。
今にいおりなど浮いてしまいそうに雨が降りなどするので、恐ろしくて寝ることもできない。
野中に丘のようになっているところにただ木が三つ
その日は、雨に濡れたものを干し、国に立ち後れた