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更級日記

(二)旅立ち

 門出した先は、囲いなどもなくて、仮初めのかや屋でしとみなどもない。
 すだれをかけ、幕など引いてある。
 南ははるかに野の方が見やられる。
 東西は海が近くていたく面白い。
 一面に夕霧が立ってはなはだ面白く、朝寝もせずあちこちを見る。そこを立つのは物悲しかったが、その月の十五日、雨が降って暗い中、国境を出て、下総の国の「いかだ」というところに泊まった。
 今にいおりなど浮いてしまいそうに雨が降りなどするので、恐ろしくて寝ることもできない。
 野中に丘のようになっているところにただ木が三つ立っている。
 その日は、雨に濡れたものを干し、国に立ち後れた人々を待つということでそこに日を暮らした。
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作成者: com

内容
・日本の(主に平安)古典の現代語訳

対象読者
・古文の授業で習った作品の全体像を知りたい中高生
・日本の古典にもう一度触れてみたくなった大人

翻訳の方針
・主語をなるべく補う。呼称もなるべく統一。
・一つの動詞に尊敬語と謙譲語が両方つく場合、尊敬語のみを訳出。
 (例)「見たてまつりたまふ」→「御覧になる(×拝見なさる)」
・今でも使われている単語は無理に言い換えない。
・説明的な文章を排し、簡潔に。

※これらは受験古文の方針とは異なるかもしれませんが、現代語としての完成度を優先しました。

作品
・完了 :更級日記(令和二年四月~七月)
・進行中:源氏物語(抄)(令和二年七月~)
・今後手がけたい:とはずがたり、紫式部日記、枕草子、蜻蛉日記、和泉式部日記、夜の寝覚め、堤中納言物語、伊勢物語、竹取物語、大鏡、増鏡、土佐日記

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