一時他家にあって満月の頃、竹に近くて、風の音に目を覚まされるのみで、打ち解けて寝ることもできぬ頃に
竹の葉のそよぐ夜 ごとに寝覚めして
何ともなきに物ぞ悲しき
(節のある竹の葉がそよぐ夜ごとに寝覚めをして、何ということもないのに物悲しいことだ)
秋頃、そこを立ってほかへ移り、そこのあるじに
いづことも露の哀れは分かれじを
浅茅 が原の秋ぞ恋しき
(どこだといって露の美しさが分かれはしますまいけれど、まばらに茅 の生えたあの原の秋が恋しいのです)
竹の葉のそよぐ
何ともなきに物ぞ悲しき
(節のある竹の葉がそよぐ夜ごとに寝覚めをして、何ということもないのに物悲しいことだ)
秋頃、そこを立ってほかへ移り、そこのあるじに
いづことも露の哀れは分かれじを
(どこだといって露の美しさが分かれはしますまいけれど、まばらに